出典:©ひぐちアサ・講談社/おお振り製作委員会
創部したばかりで全員1年生の西浦高校野球部。
ありがちな設定の野球アニメかと思いきや、
そこにお隣のグンマー県から越境入学してきた三橋廉。
それまでのヒーローと違って、極端に自虐的でオドオドした性格だったのです。
球速は遅いがクセ球で打者を翻弄するのが、エース三橋廉の持ち味。
しかし、翻弄されるのは相手打者だけではないのですよ・・・。
バッテリーを組む阿部隆也の場合
頭脳派で一試合27アウトを誰からどう取るかを、全て分析して計算しつくしている。
だのに三橋ときたら・・・。
ミーティング中に自分の世界に入り込んで聞いていないわ、デッドボールにぶつかるわ、ヘッドスライディング失敗で転げまわるわ・・・。
ケガで退場なんてことになったら計算が全て台無しになってしまうー。
キャプテン花井梓の場合
三橋と阿部の関係がギスギスしているようだ・・・。
ここはキャプテンとして一肌脱がねば!
だのに三橋ときたら・・・。
人のいないタイミングで呼び止めて、優しくフォローするつもりが、当の三橋は顔赤らめて、涙浮かべて・・・。
それを見た田島から、
「おい花井、三橋虐めてんじゃねえぞ」
なんて言われてしまった。
三橋を虐めていた三星学園中等部の連中の気持ちが、わかるような気がしてきた花井でした。
四番打者田島悠一郎の場合
相手投手のクセを見抜いて、一塁コーチとして走者に盗塁のタイミングの合図。
これで、敵を翻弄して優位に試合を進められるはず!
だのに、三橋ときたら・・・。
「リーリーリーリー」の掛け声にひたすら反応。
気付けば塁から離れすぎて、けん制球で簡単に挟まれてしまった。
俺は何のために相手ピッチャーの研究をしてきたのだー。
陰では、ただの投げたがり、投球中毒と揶揄される三橋。
おどおどしていかにも、虐めてくださいという感じの主人公の三橋くん。
一歩間違えればチーム内で虐めが始まり、チームが崩壊してしまう。
そんな危険をはらみながらも、
「三橋には真のエースになってもらいたい」
とジッとこらえる西浦ナイン。
ダメヒーローの三橋はもとより、そんな三橋に壊されるなと、主人公よりも脇役を応援したくなるアニメ、それが『大振り』です。
文章:百百太郎