出典:©鳥羽徹・SBクリエイティブ/天才王子製作委員会
弱小国ナトラの国王が病で倒れた。
摂政となったウェイン・サレマ・アルバレスト王子の当初の目的は、売国して悠々自適生活することであった。
高値で売るために国力を上げようと内政、外交、軍事、交易と携わっていくうちに、国を動かすことの面白さにのめり込んでいく。
初心を裏切ることになったウェイン王子の誤算とは?
怒りを抑えられなかった
マーデンの国王は、失政を取り返すために、他国の領土を奪うことを考えた。
目を付けたのは弱小ナトラ王国。
ナトラ国のウェイン王子は、戦のどさくさに紛れてトンズラを計画するも、マーデン国の使者に、幼馴染で補佐官のニニム・ラーレイを侮辱された。
逆上したウェイン王子は単騎で戦場を駆け抜け、敵陣に乗り込み、敵将を討ち果たしてしまう。
なお、この活躍で気勢を上げたナトラ兵たちがマーデン国の領内へと攻め込み、その財源である金鉱山を占領してしまった。
敵が勝手に潰れてしまった

出典:©鳥羽徹・SBクリエイティブ/天才王子製作委員会
隣の強国アースワルド帝国で皇位継承争い勃発。
そこに乗じて国内で不穏な動き。
どうやら貴族のアントガダル卿が内乱を企てているようだ。
アースワルド帝国のロウェルミナ皇女は、留学生時代の学友でもある。
彼女を助けたいウェイン王子は、卿の息子ゲラルトをお茶会で丸め込む作戦に。
このお茶会をロウェルミナ皇女とのお見合いの席だと勝手に勘違いしたゲラルトが問題だった。
彼は、いいとこ見せようとウェインに剣術勝負を挑み、勝手にこける。
さらに、ゲラルトに恥をかかせてはならないと、とっさに引き分けを演出するつもりのウェイン王子を、背後から襲い掛かるという愚行を起こし、避けられ、止まり切れず、そのまま窓から転落してゲラルトは死んだ。
こうして、内乱計画が発覚して息子が殺されたと勘違いしたアントガル卿が、勝手にその正体を現す。
先に売国されてしまった
金鉱山を奪還すべくナトラ国へと兵を集結させていたマーデン国は、その背後を西側のカバリヌ国に突かれ滅亡。
難民がナトラ国へなだれ込んでくるのを恐れたウェイン王子は、マーデン残党軍に味方して、カバリヌ国を退けた・・・まではよかった。
マーデン王室の生き残りは、若きゼノヴィア王女だけ。
王女はマーデン国の独立を選ばず、ナトラの属国となる。
ウェイン王子が企んでいた売国を、売国先として考えていた相手にやられてしまった。
旧マーデン領の向こうの側はちょろかった
鎖国している国と国との間に入り込んで荒稼ぎ。
国交断絶を逆手に取り、ナトラ国産と偽装して、こちら側の産物をあちら側に売りさばいて大儲け。
さらにその原材料には毒花が使用されており、やがてその毒で国民たちは次々と倒れていくなどとはったりで脅す。
さらにさらに、本当は何の効果もない解毒薬を売りつけるという、デルーニオ国の宰相を相手に悪徳商法が成立する。
売国という初心を忘れ、国を動かす楽しさに魅了されていく。
楽しいことを見つけ人生を有意義なものにしていくウェイン王子。
かつては悠々自適のスローライフ生活を目指していたウェイン王子の今後の心配は、過労死だけですね。
文章:ヒトツメロバ