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『千年女優』(2001) は、今敏監督によるアニメ映画第二作です。
キャッチコピーは「その愛は狂気にも似ている」。
あらすじ
映像制作会社を経営する立花源也は、往年の大女優・藤原千代子のドキュメンタリーを撮影するために千代子の邸宅を訪れます。
数十年前に突如として映画界を去った千代子は、過去を語り始めます。
初恋の相手である青年は、絵を描く反政府活動家でした。
彼女は青年を追いかけて女優になり、出演した映画の中でも千代子が「あのひと」と呼ぶ青年を追いかける役を演じます。
現実の存在である「青年」と、映画の中の存在である役としての「青年」を、千代子は「あのひと」とよんで混同します。
様々な時代設定の映画出演を通して、女優は昭和を生きます。
「あのひと」を追い続ける存在として、千代子は生き続けます。現実の「青年」はすでに亡くなっているとしても。
みどころ
千代子が青年を「あのひと」とよんで混同するように、この映画は、現実と虚構をないまぜにしていきます。現実と虚構の「閾(いき)」が不明瞭となり、どちらが上位にたつというわけではなく、むしろ積極的に虚構を評価します。
それは、ラストにある千代子のセリフに最もよく現れています。
「どっちでもいいのかもしれない。だってあたし、あの人を追いかけているあたしが好きなんだもの」。
まとめ
この映画は日本でよりも海外で評価が高いようです。
今敏監督の映画はハリウッド映画の監督にも大きな影響を与えています。
特質は、現実と虚構をどのように捉え料理するのかというところのオリジナリティにある、と思います。
それが、すぐれて映画的ということの高い評価に繋がっています。
未見の方はぜひご覧になってほしいです。
文章:kuragigo