出典:©2021 Konami Digital Entertainment
遊戯王では2004年3月より禁止カードが制定された。初代の禁止カードに選ばれたのは、サンダーボルト、ハーピィーの羽箒、八咫烏、王宮の勅命、苦渋の選択、心変わり、悪戯好きな双子悪魔、ファイバーポッド、サイバーポッド、お注射天使リリーの10枚。単純に強いカードを禁止カードとしていた。
時代は流れていき、遊戯王は容易にアドバンテージを獲得できる時代に突入。単純な強さよりも、コンボ性を重視したリミットレギュレーションを制定するようになった。
2020年7月の制限リストにおいて、死者蘇生は制限カード、早すぎた埋葬は禁止カードとなっている。2004年9月のリストでは死者蘇生は禁止、早すぎた埋葬は制限カードに指定されていたため、立場は完全に逆転している。
どうしてこのようになったのかというと、発売当時はライフコストが必要なく、自分、相手のどちらかのモンスターを完全蘇生させる死者蘇生の方が圧倒的に強いといわれていた。早すぎた埋葬は装備魔法なので、完全蘇生できない(装備カードを破壊された場合はモンスターも破壊される)うえ、相手モンスターは蘇生できないデメリットもあった。必須カードだったとはいえ、使い勝手で大きく劣っていたのである。
2枚のカードの立場が逆転したのは、コンボ性のあるカードが登場するようになってから。早すぎた埋葬はアームズホール(装備魔法を手札に加える)の登場により、簡単に手札に加えられるようになった。通常魔法である死者蘇生にはないメリットを得ることとなった。
死者蘇生は一度きりなのに対し、早すぎた埋葬は装備カードゆえに使いまわせることもメリットとなった(破壊以外でフィールドを離れてもモンスターは破壊されない)。こちらを手札に戻すカードも増えたことで、一ターンに何回も蘇生できる状況が作り上げられた。早すぎた埋葬はコンボ抑制のために、最終的に禁止カードに指定された。(禁止後は一度も解除されていない)
ハーピィーの羽箒、大嵐、ハリケーン、大寒波も同じような状態になっている。昔は相手の魔法・トラップを全破壊するハーピィーの羽箒が一番強いといわれていた。それゆえ、ハーピィーの羽箒を禁止カードとし、他のカードは制限もしくは無制限の状態だった。
こちらについても時代の流れによって関係性は変化した。ハーピィーの羽箒は自分へのデメリットこそないものの、コンボ性は一番低いということで制限カードに指定されている。(大嵐、ハリケーン、大寒波は禁止カード)本来なら一番汎用性の高いカードを制限カードとしているあたり、遊戯王の環境の変化を物語っている。
キャノンソルジャー、トゥーンキャノンソルジャー、マスドライバーといったコンボ性の強いカードも2004年当時なら問題にならなかった。現代では大量展開を容易にできることになったことで、先行1ターン目で簡単に相手ライフを0にすることも可能となった。
環境の変化によって、禁止カードになるカードも変わっていった。遊戯王の20年間の歴史を象徴しているのかもしれない。
文章:アニメクン