出典:(C)中村光/スクウェアエニックス・荒川UB製作委員会
中村光氏の漫画を原作とし、2010年より放送が開始されたアニメ作品です。自称「火星人」のホームレス・ニノが徒然なる私生活を地球人の市ノ宮 行と分かち合うことで成長していくストーリーです。当時、学生層に大人気を誇った時代を象徴する作品です。
金髪のギャル系美少女の正体は荒川河川敷のホームレス
この物語は、世界のトップ企業の社長の御曹司である市ノ宮 行(いちのみや こう)がひょんなことから河川敷に住む美少女と共同生活を送るストーリーです。ひょんなこととは、行が川で溺れかけた時に、助けてもらったお礼として、少女の「私に恋をさせてくれないか?」の一言により荒川の河川敷が不思議ワールドに包まれることになりました。ニノは河川敷で魚を取って暮らしており、「シスター」と呼ばれる元傭兵の青年や「星(ほし)」と呼ばれる河川敷をテリトリーにしている路上ミュージシャンなど多彩なキャラクターと共に、火星人との恋愛模様がコミカルに描かれています。
テレビアニメの歴史を噛み砕いた完全版コメディー
まず第一印象は、『銀魂』のような物語です。実際、ニノの友人でミュージシャンの星の声は『銀魂』の銀さんの声優を務める杉田智和さんが担当しています。また、設定としては『うる星やつら』の設定に似ており「宇宙人に地球人にとっての恋とはなんぞや」いう心理的テーマを持ってくるあたりが、平成の時代のサブカルチャー的作品の象徴であり、重要なテーマになっていると思います。
多彩なキャラクターとヒューマンドラマを描くのに必要最低限の舞台設定
ある意味、若年層の受け継ぐべき文化の総決算といった作品だと思います。紹介しきれない程多くの魅力的キャラクターにより形成される荒川アンダーザブリッジのコミュニティーは、観ている人全てに愛されるに十分な個性を見せてくれます。荒川河川敷再開発計画を裏で阻止した「謎の男」などコメディーの中にもミステリーの要素が程よく盛り込まれており、見ていて楽しくなるアニメです。
文章:Shinichiro.S