出典:© 2001 Studio Ghibli・NDDTM
今作は、スタジオジブリ制作の長編アニメーション映画です。監督は宮崎駿氏が務めました。日本歴代興行収入第1位を獲得しています。「どんな人生が本当の人間らしさなのか」と人間の本質的才能を問う問題作として日本国内でヒットしました。また日本文化の象徴として海外からも評価を受けた作品です。
不思議な世界と千尋
物語の舞台は東京都も群馬とも囁かれていますが公開から20年近く経った今も様々な噂が飛び交っています。引越しのために車で両親と共に森の奥までやってきた主人公が10歳の少女・千尋(ちひろ)です。そこで両親と千尋の3人は不思議な神々の宿る世界にワープします。千尋を助けてくれたのはハクという少年です。しかし、仕事を持たなければ動物にされてしまうのがこの世界の掟でした。ハクや釜爺(かまじい)の導きで魔女の湯婆婆(ゆばーば)と接触した千尋は「尋」という名前を奪われ「千(せん)」という名で労働に励むことになります。
神様と人間の関係ってなんだろう
神格的象徴である湯屋(神々が集うお風呂屋)で働くことで、この世界における人間の限界や、人が支えなくしては生きられないこと、魔法の世界から俯瞰的に見た場合の人という生き物の本質的なバランスを考えさせられる物語です。
膨大な魔術世界の情報を一手に引き受け世界のバランスを保とうとする油屋(千尋が働く湯屋)の最高責任者・湯婆婆(ゆばーば)と川の神様で龍の姿を持つハクとの関係は常にフェアな関係にあります。神様が人間のために働くのならば人間とはどうあるべきなのかというテーマが見えてきます。
力を持つものがどうあるべきか
カオナシという化け物は、人を丸呑みにし、掌から金の粒を生成する物欲と神憑りが実態化したようなものですが、やはりこのキャラクターも千尋と同じように湯婆婆の世界から逸脱した存在です。湯婆婆が愛してやまない坊(ぼう)と共にカオナシと千尋も湯婆婆(ゆばーば)の双子の姉の銭婆(ぜにーば)のもとに向かいます。
千尋とハクの知られざる過去が明らかになるラストシーンには感動させられます。
文章:Shinichiro.S