出典:(C)鎌池和馬/アスキー・メディアワークス/PROJECT-INDEX
ライトノベル作家の鎌池 和馬(かまち かずま)氏にとってはこの作品が出世作であり今作から派生した作品として『とある科学の一方通行』や『とある科学の超電磁砲(レールガン)』なども話題を呼びました。
今でも大きめの本屋に行けば必ず置いています。2004年に原作小説が発表され、2008年に深夜のテレビアニメとして放送されています。
運命の出会い
舞台はとある学園都市であり、人口の8割が学生です。主人公は高校1年生の上条当麻(かみじょう とうま)という男の子で、「幻想殺し(イマジンブレーカー)」という局所的に脳の幻覚やウィルスを攻撃し、治癒する能力を持っています。学園都市にはこうした能力の持ち主が多く住んでおり、言うなればサバイバル空間です。
それぞれにレベルが点けられて管理されているのですが、とうまの能力はレベルゼロです。ある日出会った「禁書目録(インデックス)」という女の子と関わることで魔術にまつわる多くの問題に巻き込まれていき、時に瀕死の状態になりながらインデックスを守る守護者として学生生活を送る壮絶なストーリーです。
禁書目録とは?
インデックスの能力は禁書目録です。禁書目録とは、一度に10万3000冊の魔術書を記憶できる能力です。しかし圧倒的な能力にもハンデはあり、彼女の頭脳にはキャパシティーがある為、1年を経過するとキャパオーバーの為に一度記憶をリセットすることが必要なのです。しかし、その仕組み自体が何者かによって操作されているものだと判明します。
ストーリーは謎だらけ
何故何処で仕組まれたのか?そして何故インデックスが襲われ続けるのか?当麻との出会いは運命だったのか、それともこれも世界の意図した出会いだったのか?謎は深まるばかりですが、ストーリー設定の段階から、とても新鮮で日本のアニメらしいストーリーであることがよく伝わり、安心感にもつながっていると思います。
膨らみ続ける「とある‥」の世界
既刊48巻(本編47巻、短編集1巻)(2019年7月現在)で構成される稀に見る長編小説が原作です。2007年の4月に創刊された漫画もすでに20巻を超えています。PSPのゲームにもなりました。アニメ化され、一気に認知度を増幅させたのが2008年のことでした。これは完全にメディアミックス作品といっていいでしょう。
物語はよりセンシティブに!
物語の中盤から後半にかけてはローマ教皇の話が絡んできます。当コラムのあらすじだけでは説明し尽くせないほど身近な問題から壮大なテーマへと物語は進んでいきます。ただこの様なストーリー展開はアドベンチャー作品ではよくあることだと思います。
この作品の特徴として、小説の執筆段階で明確な目的がないに等しいのだと思います。自己実現だとかそういうことには無縁です。ただ運命と哲学を両手にかざして作者とキャラクターが「自由」を叫ぶ様なものなのだと思います。長編であり人気作です。割り切って世界観を堪能しましょう。
文章:Shinichiro.S