新人助手が無双する『まったく最近の探偵ときたら』

腰痛、関節痛、老眼、知覚過敏、蓄膿、胃も弱っている･･･かつて天才高校生探偵と一世を風靡した名雲桂一郎（なぐもけいいちろう）は35歳で、すっかり落ちぶれていたのだ。

探偵志望の女子校生、中西真白（なかにしましろ）は、そんな事務所を立て直すべく、助手として無給で働く。

超人的フィジカルに収納術、顔芸、琉球空手、火炎放射器を自在に操るなど多才な真白。

そんな彼女にも解決できない謎もある。

持ち帰った霊

真白と同じクラスの男子、林田がオバケ退治の依頼に来た。

毎晩、自宅周辺で何かの気配がするので、監視カメラを設置したところ、映像にオバケが映っていた。さっそく現場にむかった真白だったが･･･

実は、真白に近づくために林田が仕掛けたトリックだと、名雲は見破る。

が、真白はボコボコにした霊を連れて戻って来る。

その後、霊はどうなったのか？

事務所内に現れる謎の正岡子規が、それなのかもしれない。

高校生探偵アスナロ。その助手の風巻ハナ（かざまきハナ）、通称マキちゃんは謎である。

名雲に高校生と思わせておいて、普通にお酒を飲む年齢不詳者なのだ。

お酒で酔わせて、実年齢を聞き出そうとする真白であったが･･･

好きな食べ物はお寿司。休日の過ごし方は手芸。座右の銘はレディファースト。アスナロは一緒に居て疲れる。

年齢だけは「２０もにょ･･･」

人里離れた井出音村の男が助けを求めてきた。悪魔に憑かれているとして、火刑にされようとしている妻のリンを救って欲しいというのだ。

現地に向かうと、たちまち村人に取り囲まれる。中でもシャーマンのお婆はやり手。空手使いの真白と互角の戦いを展開する。

「お前は若い頃のわしに似とる」「どういう意味？」「わしは、あんたの年ぐらいに探偵事務所で働いていてね･･･」

お婆が回想モードに入ったところを、真白は背後に回り込んでヘッドロックで堕とす。

なので、何を言おうとしていたのか？謎である。

かつての天才高校生探偵名雲は今や、電柱の陰でコートを着込み、牛乳でアンパンを食べる様子から「挙動不審厚着おじさん」「YO（やべえおじさん）」として認識されている。

一方、現在の天才高校生探偵アスナロは街に出ると、たちまち女子たちに取り囲まれ、輪が解けた後は、ふんどし一丁の姿になっている。

ストリーキングとして認識される日も、そう遠くないだろう。

文章：ヒトツメロバ